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共存型一神教入門

Introduction to Inclusive Monotheism
第零版alpha06
最終更新日――2012年8月3日(金)

目次

はじめに

この経典は、 共存型一神教という宗教について 分かりやすく解説することを目的として書かれたものです。 共存型一神教には、この経典のほかに 「第一原因経」 (Causa Prima Sutra)という経典があって、 そちらのほうが正典ということになっています。 しかし、正典のほうは、 共存型一神教という宗教の背景にある考え方までも 説明しているわけではありませんので、 それを読んだだけで 共存型一神教について正しい理解を得ることは困難です。 ですから、共存型一神教について知りたいと思う方には、 正典に加えて、この経典もお読みいただくことをお奨めします。

共存型一神教の教義は、 次の三つの柱から構成されています。

そこで、まず第一節で、 序論として神について説明したのち、 第二節で多位一体について、 第三節で第一原因について、 第四節で 万人教祖主義について説明することにしたいと思います。

[第一節]神

「神は存在する」という命題のことを 「有神論」(theism)と言います。 共存型一神教は、有神論を含んでいる宗教です。 ちなみに、宗教の多くは有神論を含んでいますが、 有神論を含んでいない宗教も存在します。 たとえば初期の仏教は有神論を含んでいません。

ところで、宗教の多くが存在を主張している「神」というのは、 いったい何なのでしょうか。

宗教を作る人間、つまり教祖は、 その宗教で使われる「神」(god)という言葉を 自由に定義することができます。 たとえば、宇宙の法則を「神」と呼んでもかまいませんし、 死んだ人間の霊魂を「神」と呼んでもかまいませんし、 生きている人間を「神」と呼んでもかまいませんし、 天体や山や樹木や石などの物体を「神」と呼んでもかまいません。 ですから、「神とは何か」という問題に対して解答を出すためには、 どの宗教の神なのかということを限定する必要があります。

共存型一神教では、「神」という言葉を、 信者の一人一人が自由に定義することができます。 ただし、完全に自由というわけではありません。 共存型一神教には、神に関するいくつかの教義があります。 たとえば、「神は神を生成することができ、かつ、 神を生成することができるものは神のみである」 という教義はその一つです。 「神」という言葉を、 それらの教義と矛盾するように定義することはできません。 しかし、矛盾さえしていなければ、 「神」という言葉は、どのように定義することも可能です。

[第二節]多位一体

有神論を持つ宗教について語るときに、しばしば、 一神教と多神教という類型が使われることがあります。

「一神教」(monotheism)というのは、 神は一柱だけしか存在しないと主張する宗教のことです。 「アブラハム宗教」(Abrahamic religion)と総称される、 ユダヤ教(Judaism)、キリスト教(Christianity)、 イスラーム(Islam)という三つの宗教は、 いずれも一神教に分類されます。

「多神教」(polytheism)というのは、 二柱以上の神々が存在すると主張する宗教のことです。 ヒンドゥー教(Hinduism)、道教(Taoism)、神道(Shinto)などは、 多神教に分類される宗教です。

さて、それでは、共存型一神教というのは、 その名前のとおり一神教なのでしょうか。 それとも、その名前とは裏腹に多神教なのでしょうか。

共存型一神教は、一神教だとみなすこともできますし、 多神教だとみなすこともできます。 つまり、共存型一神教は、 かつて神は一柱だけしか存在していなかったと主張していて、かつ、 現在は二柱以上の神々が存在していると主張しているのです。

共存型一神教は、神が生成した神、 というものの存在を認めています。 つまり、神と神との間に、 「一方が他方を生成した」という関係が成り立つ場合がある、 と考えているわけです。 神々を生成した神は、 それが生成した神々の「実体」(substance)と呼ばれます。 逆に、神によって生成された神々は、 それらを生成した神の「位格」(person)と呼ばれます。 そして、生成されることなく存在している神は、 「根神」(root god)と呼ばれます。

共存型一神教は、二柱以上の神々の存在を認めています。 しかし、それらの神々のうちで、 根神は一柱だけしか存在していないと主張しています。 つまり、生成されることなく存在している神は一柱だけで、 それ以外の神々は、すべて、 生成されることなく存在している一柱の神が、 直接または間接的に生成することによって 存在しているということです。 言い換えれば、現在は二柱以上の神々が存在しているけれども、 時間を遡っていくと、 神が一柱しか存在していなかった時点に到達する、 ということです。

共存型一神教では、「二柱以上の神々が存在していて、かつ、 根神は一柱だけしか存在しない」という命題のことを、 「多位一体」(polynity)と呼んでいます。 「多位一体経」(Polynity Sutra)という、 共存型一神教の正典の題名は、この命題に由来しています。

[第三節]第一原因

存在者というものは、通常、 何らかの存在者によって生成されるものです。 存在者を生成した存在者は、 生成された存在者の「原因」(cause)と呼ばれ、 存在者によって生成された存在者は、 それを生成した存在者の「結果」(effect)と呼ばれます。 原因は、さらに別の原因による結果ですので、原因と結果の関係は、 鎖のような系列を構成します。 では、原因と結果の系列を、 原因の方向に向かって無限に遡ることは可能でしょうか。 それとも、それは不可能なのでしょうか。

原因と結果の系列を無限に遡ることは可能か否か、 という問題に対する共存型一神教の見解は、それは不可能である、 というものです。 なぜなら、原因と結果の系列には、 それ以上は遡ることのできない限界があると考えているからです。 原因と結果の系列を遡っていくと、その系列はかならず、 原因を持たないで存在する一つの存在者に到達します。 共存型一神教では、そのような、 存在する原因を持たない存在者のことを 「第一原因」(first cause, causa prima)と呼んでいます。

共存型一神教は、さらに、 「第一原因は根神である」と主張しています。 これは、共存型一神教においては、 第一原因と根神とは同一の存在者である、 ということを意味しています。

ところで、 アブラハム宗教において存在が主張されている神と、 共存型一神教において存在が主張されている第一原因とは、 どのような関係にあるのでしょうか。

アブラハム宗教において存在が主張されている神は、 天地を創造した神であると考えられています。 しかし、その神と第一原因とが同一なのかどうかということは、 明確ではありません。 アブラハム宗教の神と第一原因とが同一であるという 可能性もありますし、 アブラハム宗教の神を創造した神というものが 存在する可能性もあります。

[第四節]万人教祖主義

宗教というものは、通常、 何らかの既存の宗教を特殊化することによって作られます。 つまり、何らかの宗教を土台にして、 その上に何かを積み重ねることによって、 新しい宗教が作られるわけです。 新しく作られた宗教のことを、 それを作るために土台として使われた宗教の 「派生宗教」(derived religion)と呼ぶことにしましょう。 そして、 土台として使われた宗教のことを、 その上に新しく作られた宗教の 「基底宗教」(base religion)と呼ぶことにしましょう。

共存型一神教も、既存の宗教を土台として作られています。 共存型一神教の基底宗教は、「木教」(treeism)という宗教です。 「多位一体経」という経典が、 木教の正典です。

派生宗教は、基本的には、 その基底宗教の中に含まれている教義などを そのまま継承することになります。 共存型一神教も、その基底宗教から教義を継承しています。 第二節で説明した 「多位一体」という教義は、 木教から継承したものです。

木教も、既存の宗教を土台として作られています。 木教の基底宗教は、「共存教」(includism)という宗教です。 「拡張可能経」という経典が、 共存教の正典です。 木教は、 「万人教祖主義」(omnifundatoresism)と呼ばれる教義を 共存教から継承しています。

万人教祖主義というのは、 「すべての人間は教祖となることが可能である」 という命題のことです。 教祖というのは新しい宗教を作る人間のことですから、この命題は、 「宗教は誰にでも作ることができる」と言い換えることもできます。

万人教祖主義という教義の背景には、 いかなる宗教も人間の想像力から生まれてきたものだという考え方、 すなわち、 宗教というのはフィクションだという考え方があります。 このような考え方を背景に持つという点は、 共存教を基底宗教とする木教も、 木教を基底宗教とする共存型一神教も、まったく同じです。

どのようにして基底宗教から派生宗教を作ればいいのか、 という方法については、 「宗教の作り方」 という経典の中で分かりやすく解説していますので、 もしもあなたが共存型一神教の信者になろうと思われたならば、 ぜひそちらの経典もお読みいただきたいと思います。

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